FC2ブログ

ガウロとシェリーヌ ~遠く~

 白夜の中、ガウロは太陽を目指して歩いた。
 
 見た事もないような、感じた事もないような、そんな新しい世界が、
 ただ、そこにはあった。
 孤高なのか孤独なのかガウロには分からなかった。
 次元の違いを感じていた。時間軸はいつしか折れて曲がり、普遍的な意味を失い乱反射を繰り返した。

 その光はうっとりしてしまうように鮮やかで、ガウロは死を覚悟した。
 屈折した人々の感情は考えがたいが、光に例えると美しい。
 人生とはそういうものなのか?ガウロは少しだけ考えた。
 こたえの無い道をひとりで歩いた。

 ガウロが幼い頃、彼の母親はガウロに言った。
「パパは遠くに行ってしまったのよ、、、だから、もう、会えないの」
 そう彼に言い残し、母親もガウロから離れて行った、、、遠くに行った。

 ガウロは思った。思えば遠くまで来た。その感覚が自分にはある。
 もしかしたら、いま自分がいる場所が、いつか母親が言った「遠く」ってやつなんじゃないか。

 父親に会えるのかもしれない、、、そう思った。
 顔すら知らない父親。

 ガウロの頬を涙の粒が転げ落ちていった。
スポンサーサイト



テーマ : 短編小説
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

ウダタクオ

Author:ウダタクオ
(日本の小説家)

- Uda TAKUO official website -

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QRコード
  1. 無料アクセス解析